東寺通の町家 Machiya of Toji-dori
東寺通の町家
Machiya of Toji-dori
京都駅すぐ近く、大正末期に建てられたおよそ築90年の町家の改修です。
かつては連棟であった長屋の両隣は既に建て替えられ、一軒のみ残された建物も老朽化が進んでいました。
トタンで覆われ、かつての様子を知ることが困難な状態でしたが、「本来の姿に近づけ、歴史を感じながら新たに住むことができるようにしたい」というお施主様の強い要望に応える為、建物の状態をくまなく調査し、丁寧に元の姿に戻す計画としました。
中でも、職人の手によって何度もコテを滑らせ重ねられた土壁は、現代の手法では現れることのない、深い陰影と重厚な温かさを空間に蘇らせました。
床下の土間打ちや屋根の軽量化、水廻り設備の取替えなどの見直しは行いながらも、土壁の再生や仕上げの素材にこだわったことで、歴史を継承していく町家として、その魅力が生き返りました。
場所:京都市南区東九条
完成:2017年4月
規模:延床面積 70.37㎡(21.28坪)
設計・施工:十木舎
写真:中島隆之氏