東寺通の町家 改修




京都駅すぐ近く、大正末期に建てられたおよそ築90年の町家の改修です。かつては連棟であった長屋の両隣は既に建て替えられ、一軒のみ残された建物も老朽化が進んでいました。トタンで覆われ、かつての様子を知ることが困難な状態でしたが、「本来の姿に近づけ、歴史を感じながら新たに住むことができるようにしたい」というお施主様の強い要望に応える為、建物の状態をくまなく調査し、丁寧に元の姿に戻す計画としました。中でも、職人の手によって何度もコテを滑らせ重ねられた土壁は、現代の手法では現れることのない、深い陰影と重厚な温かさを空間に蘇らせました。床下の土間打ちや屋根の軽量化、水廻り設備の取替えなどの見直しは行いながらも、土壁の再生や仕上げの素材にこだわったことで、歴史を継承していく町家として、その魅力が生き返りました。

改修前 トタンに覆われた外観。

改修前 荒れてしまっていた内部。

張られていた床を撤去し、復活させた通り土間。

表の間から路地を見る。

既存のものを修繕再生させた箱階段。

奥の間から坪庭を見る。庭にもかつては屋根がかかり、真っ暗な空間だった。

2階 奥の間。朽ちていた物干し台の代わりに欄干を設ける。

柔らかくも重みのある土壁。階段手摺はスス竹にて作成。

台所上部に張られていた天井を取り除き、天窓を復活。明るい空間となった。

脱衣室には栗材による一枚板のカウンター。天井は光が透過し明るい。

トイレは腰壁と床をタイル貼。

各所に場面に応じた古建具を利用。

■場所:
京都市南区東九条
■完成:
2017年4月
■規模:
延床面積 70.37㎡(21.28坪)
■設計・施工:
十木舎
■写真:
中島隆之氏